ほわいと ★ すかい
★.....seven day
‥ピン ポ‥ン‥
「んんっ…?」
白く眩しい光りの溜まったまぶたの内側…
ぼんやり意識のある私は、まどろみの淵から呟きを零す…
ピ〜ン ポ〜ン‥♪
穏やかに弾む玄関の電子音。
「ぅぅ…ネムイょぉ‥」
顔を布団で隠して丸く縮こまる私…
ピ〜ン ポ ポ〜ン‥♪
「…コレってまさか…?」
微妙なボタンの押し方で奏でられる玄関チャイムのリズム。
訪問者の心当たりに薄目を開ける私。
丁度、目の前にあった目覚まし時計の文字盤が視界一杯に映る。
太くて短い、飾りの付いた針が指す数字は12…
「ええっ、12時ー!?」
驚いて布団を跳ね飛ばして起き上がる私。
勿論のこと、部屋中が明るい陽の光で満たされていて、
深夜でないことはあきらか…
「うわ‥昨日12時に寝たけど、ここまでの爆睡なんていつ以来だろぉ…」
ピ.....ン ポ.....ン...♪
「うっ?!」
更に妖しくなったボタンの押し方に、"誰が"来てるかを確信する私。
「うわーっ、ヨッちゃんごめんー!!」
階段下りながら勝手に断定した友人に謝る私。
ガララ…
「…おはよう、思った以上にボロボロねあんた…」
あわてて開けた玄関ドアの向こうから、あきれたお顔でつぶやくヨッちゃん。
「あっ、ははっ、久々に激しい運動したら疲れたみたいで…」
太陽もしっかり昇って鮮やかに光輝く町と対照的に、爆発アタマにパジャマ姿
の私はすごく情けない…です。
「‥で何の御用でしょうか?」
記憶にある事を気にしながら、わざとらしく尋ねる私…
「…ふぅ、人の"好意"をそこまで嫌がられるとムカつくわね…!」
ムスッと顔をしかめるヨッちゃん。
スッ…とスーパーのビニール袋に入れた何かを私へと差し出した。
「何?」
ペタペタ…サンダルでヨッちゃんの袋を受け取りに玄関を出る私。
ガササ…
「えっ、お弁当?」
袋の中には二段に重ねた白いタッパーの容れ物が入っていた。
「うちの母さんに葵さんのコト話したのよ。
そしたらコレ"見舞い"に持ってけって訳。」
面倒臭そうに説明するヨッちゃん。
「うわ〜ありがとう、母さん喜ぶよ♪」
料理下手な自分にも嬉しいプレゼントに笑顔を浮かべる私。
「…それから、今日って久々に葵さんが日曜日休みなんでしょ。
お互い元気ありそうなら買い物でも誘ってあげたら?」
「あれっ?そうだった!」
人形の夢とか色々あった一週間で、すっかり忘れてた私。
「…でもなんでヨッちゃんがそんなコト知ってるの?」
ふとわいた疑問を尋ねる私。
「昨日葵さん宛てに"応援メール"送ったのよ。
そしたら"明日から2連休で大丈夫よん( ⌒▽⌒ )b"って返事がきたの。」
平然と言ってるヨッちゃんだけど、私はヨッちゃんのお母さんの
メールアドレスも知らない…
(そういえば昨日の晩、フクちゃんも"足のケガ"のこと
母さんにメールくれたよね…)
"細かい"というか、親密すぎる母と親友達の距離に戸惑いを感じる私。
(違うっ、2人のは親切だよ!)
そんなコトに嫉妬してる自分に気付いて、私は恥ずかしさにアタマを振った。
「…何ブツブツ寝言いってんのソラ、キモイわよ。」
「うっ、ゴメン、ヒドイ!」
見かねたヨッちゃんの言葉に刺されて、変てこな返事してる私。
「おはよーヨッちゃん!ソラと出かけるのっ?」
「うわっ、母さん大丈夫?!」
また私の背後から顔を出してヨッちゃんに手を振ってるmy母さん。
「こんにちわ葵さん。」
元気な母さんに、あっさりした返事で軽く手を振り返すヨッちゃん。
「ん、何かもらったのソラ?」
「あっ、それっ‥」
私からヒョイとビニール袋を取り上げて、ガサガサ中身を物色する母さん。
「あら、ゴボウのキンピラとフキの煮物がたっぷり!」
「それうちの母さんからの"強引な"差し入れです。よかったらどうぞ。」
ボソ…と説明するヨッちゃん。
「えっ、そうなの?うれしい!」
喜びながらタッパーの蓋まで取って、いきなり味見を始める母さん。
ポリポリ…
「うんっ、美味しいっ!この苦味が好きなのよ〜♪」
パジャマ姿でにんまりフキを頬張る母さん…
「かっ、母さんっ!恥ずかしいから食べるのは台所にしてよっ!」
自分もそうなのに、寝間着姿の母親に注意してる私。
「…それじゃあ、私帰ります。」
ポツンと呟いて背中を向けるヨッちゃん。
「あっ、ありがとうヨッちゃん!」
「ヨッちゃん、昌代さんに"グッジョブ♪"って伝えといて〜!」
「〜♪」
ヨッちゃんは私たちの言葉に軽く手だけ振って、そのまま行ってしまう。
ちなみの"昌代さん"はヨッちゃんのお母さんの名前で、勿論私はそんな風に
呼んだことはなく、この先も無いと思う…
「あれっ、ヨッちゃんコレだけの為に来てくれたの…?」
遠くに小さくなった友人の姿を見ながら、ようやくそのことに気付く私。
「ソラ、明日もう一度ヨッちゃんにお礼伝えといてくれる。」
口をポリポリ言わせながら、玄関を上がって台所に向かう母さん。
「うん、そうしようと思った…!」
ドアを閉めて、どこか幸せな気分で母さんの後を追いかける私でした…
▼
|