ほわいと ★ すかい
★.....six day
やわらかな光がまぶたを透かして瞳をくすぐる…
「…んんっ…」
吐息のような言葉をこぼし、意識のスイッチを入れる私…
回り始めた思考が、身体を包み込むやわらかい膜を認識する…
それをギュウゥゥ…と抱きしめて、温もりをカラダいっぱいに吸い込む私…
「うんっ…♪」
受け取った熱を頬に溜めて、ソコを幸せそうに膨らませる私…
スッ‥と開いた薄目越しに、その優しさの正体を眺める…
「…毛布…?」
寝ぼけながら手繰り寄せて、ほっぺでじゃれる様に確かめる私…
「…人形…夢…」
ぬくもりの殻の中で、ゆっくり‥私は過去を巻き戻していく…
「母さん‥!」
たどり着いた大事な言葉で、勢い良く体を起こす私。
「私っ、ベットで寝てる…まさか母さんが2階まで担いでくれたの…??」
驚いてから、後悔と情けなさでシワのたまっていく私の顔…
枕元の目覚まし時計を手に取って、時刻を見つめる私…
「…よしっ、まだ6時前だ!」
小さく気合を入れて、パジャマのまま静かに階段を降りていく私…
ガララ…
陽が昇ってないせいもあって、夜みたいに暗い台所の色…
電気をつけて、昨日との違いを見比べていく私…
テーブルの上はキレイに片付けられてて、ラップのかかったお皿の上に、
残ったご飯がオニギリに丸められて並んでいる。
「コレはお弁当に使えるね♪」
小さい一口サイズのソレに海苔を巻いた図を想像しながら、冷蔵庫を開ける私。
「朝はまずコレっ♪」
扉のラックからパックの牛乳を取り出し、ガラスのコップいっぱいに中身を注ぐ。
「んっくっ…」
乾いた私のノドに優しくリレーしていく白いジュース。
「う〜!生き返るっ♪」
マブタをきつく閉じて、口に広がる"甘さ"と"匂い"にクラクラ〜と
酔っぱらっちゃう私。
「さっ、テンションも上がったしお弁当の準備しよっ!」
口元に付いた白いのを拭って、ご飯を洗い炊飯器へとセットする。
「まず冷凍のミニハンバーグとカマボコ、それに卵焼き作って…
あっ、ほうれん草のおひたし残ってる♪」
ちなみに母さんは職場でお昼ご飯出ちゃうので、お弁当は私の分だけ用意。
「あっ、味噌汁もたくさん飲んでくれてる♪」
小鍋いっぱいあったソレが、半分以下に減っててうれしくなる私。
ソコに冷蔵庫から取り出した豆腐一丁をぶつ切りにして加えて、
コンロを弱火でつける。
「コレとご飯と玉子焼きで許して母さん‥!」
単純な朝ごはんのラインナップに、ヒトリ頭を下げてる変な私。
隣のコンロに油を敷いたフライパンを掛けて、溶いた卵に冷凍の輪切り葱を加えて
お椀でかき混ぜる。
シュワァァ…
流し込んだトロトロ卵が、心地良いざわめきを上げてプクプク気泡をあげた。
「あちちっ…!」
箸で卵をかき回す私の手に、元気な油がパチパチと飛び上がってきた。
「母さんがこうやってるの見てるんだけど…アレレ?」
ふんわりしてくる予定が、フライパンの中でボソボソゴロゴロ固まっていく
私の卵焼き…
「あうう…母さんごめんなさいっ!」
挙句に底のほうが焦げ付いて、木しゃもじでソレこそいで皿に盛りつける。
熱〜いフライパンを恐る恐る流しへと運び、水をかけながらスポンジで
ゴシゴシとこする私。
「はいっ、0点っ!!」
「うわわっ?!」
突然すぎる声にその場で飛び上がる私。
「かっ、母さん!いつ起きたのっ…?」
まだ震えてるまんまのカラダと、情けない顔で後に立つ人に問いかける私。
「降りてきたのは今よ。昨日はTV見ないで早く寝たから目覚めも早いのよ♪」
う…んっ、と背伸びするパジャマ姿の母さん。
「それよりもソラ、危ないから油使った後はいきなり水かけるなって言ったでしょっ!
それに焦げはしばらく水につけて置いとくのっ、スポンジがズタボロでしょ!」
私に向けてたっぷりのため息を吐きつける母さん。
「はい、色々忘れてました〜」
自分でも失敗がわかってて、泣きべそ浮かべてコップの牛乳をあおる。
「ああっ、またそんな"大"コップいっぱい飲んでっ…!暴飲ばっかしてたら
一番安い低脂肪乳に変えるわよ!」
「ひいっ…!アレは薄いからヤダッ!!」
"水みたい"な味を思い出して、ブルルッ…と背筋が寒くなる。
「…ほんとアンタの"乳"好きにはため息でるわね…」
「うん、でも好きなんだもん♪」
トポポッ…て2杯目を注いでる私。
「…本気で低脂肪乳にするわよ、それとも脱脂粉乳がいいかしら?」
「あうっ…!」
怯えながら一気にコップを飲み干す私。
ピククッ…
(えっ…?)
急に胸がピリピリ痺れて固まる私。
「どうかしたのソラ?」
すかさず心配して私の顔を正面から覗き込む母さん。
「あっ、うん、なんか胸がうずいて…」
そう言ってふくらんでるトコロに両手を添える私。
「…その下のでしょ!」
パチンッ…
「ひゃあんっ…!」
いきなり母さんにお腹を叩かれて、ナカの牛乳がタプン‥って揺れた。
「朝から"パック半分"も飲んだら痛くなるのが普通なのっ!!」
お怒り気味の顔を突き出してくる母さん。
「ちっ、違うの、ホントに胸がなんかムズムズしだして…!」
「牛乳飲んで発情してたら女なんか務まるかー!」
クワッ、と大きな口で唾と言葉を飛ばす母さん。
「多分そんなんじゃないよ〜!」
母さんが取り上げた牛乳パックを手を伸ばして求める私。
炊き上げに入った炊飯器から立ち昇る湯気の向こうで、朝からアホな問答をしている
私たち親子でありました。
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