ほわいと ★ すかい
★.....five day
ムズムズッ…
(んんっ…)
鼻をくすぐる冷たい感触…
(ソラ‥)
動きに合わせて何かが私を呼んでる…
(…返事したらダメだ…!)
私はその誘いが"人形だって"なんとなくわかっていた…
(ソラ…)
声はすこし荒っぽくなって私を呼ぶ…
(…大丈夫、あせってるのは向こうの方だ…)
地面にしっかりと足のついた私は、"ココ"でふんばれる自信があった…
(ソラっ…!)
グイッ‥
「わぎっ?!」
片方の耳に猛烈な痛さが走って頭が回る私…
「まぶしっ…!?」
突然真っ黒な世界が真っ白な世界へと切り替わる…
「えっ‥窓…?」
薄目を開けた私は、眩しい光の中に見慣れた輪郭を見つけた…
「…あれ、なんかでも傾いてる…?」
はっきりしていく窓枠を含む景色は、45度ほど斜めになってる…
「いいボケっぷりねソラ…」
「ひっ…!」
忘れてた痛い方の耳に、母さんの"怖い声"が流れてきた。
「…痛たっ、おっ、おはよう母さん!」
痛みで目の覚めた私は、母さんに耳たぶを引っ張られて
釣られたお魚状態の自分の格好に気づく…
「おはようソラ、鼻から"何か"出てるわよ♪」
「へっ‥!?」
ズズッ…と鼻のソレを吸いながら目線を上げる私…
(うわぁぁ…!)
見上げた先で"笑ってない"笑顔の母さんと目が合った。
「この寒いのに、窓際の机で"睡眠学習"なんて母さんへのあてつけかしら?」
鼻声を強調して母さんが私に尋ねる。
「ごっ、ごめんなさいっ…!それと耳痛いっ…!」
イスに座った手足をバタつかせて母さんに謝る私。
パッ‥と耳の指が放されて、浮いた感じだったお尻がしっかりと着席する。
ズズッ…
そのわずかな震動で、鼻から飛び出した冷たいソレを吸い込む私…
「あんた"見事"に風邪引いてないわよねっ?」
横から私を覗き込む"笑顔"の母さん。
「だっ、大丈夫だよっ!私若いんだからっ…!」
元気をアピールしながらも、さらにズズッ…と鼻を吸う私…
「うふっ、ソレ嫌味よねソラ♪」
私の弾力あるほっぺを指先で突っ付きながら、引きつってる母さんのお顔…
「えっ、やっ、母さんも肌キレイだよっ…?!」
機嫌の悪さ全開の母さんに、良い言葉の出ない寝起きの私…
ピン ポーン♪
下から響いてくる軽やかな玄関の呼び鈴。
「わわっ、私が出まーす!」
反射的にイスから立ち上がって、勢いよく部屋を逃げ出す私。
ドタタタ‥
「あっ、私ってパジャマのまんまだ…!」
階段降りながらはたと気づいたけど、着替える服は全部上にある…
「あぅぅ…多分宅配便だらかパパッとサインしちゃおう!」
ピン ポーン♪
「すみませんっ、今出ます!」
ガチャリ‥鍵を外して玄関の引き戸を開く私。
「ええっ…??」
パジャマ姿の私は、目の前にいた意外な人物に大きな声をあげた。
「…朝からうるさいわね、あんた今起きたの…?」
眠そう&迷惑そうな目を私に向けて、不機嫌そうにヨッちゃんが言う。
「えっ?そう、今母さんに起こされて…って何でヨッちゃんがいるの…??」
一瞬親友のペースに流されそうになって、我に返る私…
「…失礼ね、見てのとうり"お迎え"にきたのよ…!」
怒った目で私を睨むヨッちゃん。
「…だっ、だって友達歴10年なのに、朝に私んちまで来たのって
今日が"初めて"なんだよっ!?」
やや感動気味に年数を再計算してる私…にため息をこぼすヨッちゃん。
「…もういいわ、コイツに頼まれたから来たのよ…!」
「えっ‥?」
そう言われて、ヨッちゃんの少し後ろに誰かいるのに気づく私…
「…って影みたいにピッタリ後ろに立っててどうすんのあんた…!」
不機嫌に後ろの人を怒鳴ってから、横にずれるヨッちゃん。
「おはよー綾!」
「うわぁぁー!?」
正面から発せられたその爽やかな挨拶に、悲鳴で返事してドアを閉めちゃう私。
カララ‥
少しだけ隙間を空けて、目だけ覗かせる私。
「…雲岬くんだっけ?あんた初対面でソラに何したの…?」
私のリアクションに、不審な目で雲さき君を睨むヨッちゃん。
「説明した通りです。昨日綾に、春から芽生え募った愛の想いを告白しました!」
「わー!人んちの前でそんなこと言うなー!」
自信満々な声と目の雲さきくんに、ドアの隙間からツッコミ入れる私。
「…ほぅ、意外に"息"は合うのね…」
ソレを変に誤解して、納得してるヨッちゃん。
「あらっ!アレがソラの彼氏候補?」
「うわっ、いつのまにっ‥!」
私のアタマの上から顔を乗り出して、ドアをガラッと開ける母さん。
「はじめましてお母さん、昨日綾に告白しました雲岬 万里です!」
引くどころか、更にはりきった声で自己紹介してくる雲さきくん。
「はじめまして、ソラの母の綾川 葵(あおい)です。綾ってソラのことよね♪」
「かっ、母さんっ!?」
キラキラ目を輝かせて、"お楽しみモード"になってる母さん。
「はいっ!綾には迷惑のないお付き合いをさせていただくつもりです!」
「もう迷惑いっぱいだよー!それに付き合うなんて言ってないっ!」
"止まらない"雲さきくんに激しく抗議する私。
「…でも葵さんに好印象なら、親の同意は得たってトコね…」
ポン、と雲さきくんの肩を叩いて、怪しいことを吹き込むヨッちゃん。
「はいっ!芳川さん、俺がんばります!」
その言葉で輝く笑みを浮かべる雲さきくん。
「…はいはい、またお昼のパン代に困ったら"お願い"聞いてあげるわ。」
「ヨッちゃんっ!」
ヨッちゃんらしい"オチ"に、脱力しながらツッコむ言葉を捜してる私…
(って、私一人で3人にボケられてるっ…!?)
今更そんな状況に気づいて"空しさ"に打ちひしがれる私。
「…私っ、とりあえず着替えてくる…」
がっくし‥と、うなだれてドアから顔を引く私。
「あらソラ、もう時間ないから1分で着替えなさいよ♪」
「…ほんと、葵さん私先に行くんでソラによろしくです。」
「俺は綾と遅刻します!綾のお母さん何かお手伝いありますか?」
そんな背中にやかましいお三方のお言葉…
「もう!みんな自分勝手すぎっ!」
ちょっぴり泣きべそかきながら、2階へ駆け上がる私を"不思議そう"
に眺める3人でした…
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