『4day-緑の食卓(テーブル)』

  昼―晴れた日差し差し込む教室の風景。

弁当をほおばる少女とイスの背に首をかけてソレを見つめる少女。
「・・・サキぃ、夢って何かな・・・?」
眠そうな声でイスにもてれた少女がポツリとつぶやく。
もぐもぐ食を続ける少女はくたびれたその顔をじーっと見た。
「ソラ、あんたの食欲無い訳って恋愛でイジイジ悩んでるとか?!」
「うあー!!あんなの恋じゃないぃー!!」
小人の姿を思い出して大きな声を出すソラ。
突然のことにざわめいてた昼休みの教室が一瞬、シン―と静まる。
「・・・ソラぁ、あんた普段しゃべんないんだから、
へんなこと叫ぶと変人の看板しょうよ。」
「あぅ・・・」
ぷーと口びるを鳴らしため息のソラ。
「で、どんな夢見たわけよ?」
「うっ・・・!」
まさかそのまま話せるわけない!というか、それこそただの“変態”である!
「えっとね・・わけわかんないトコロに閉じ込められてるの・・・」
「・・何か隠してんじゃない?」
「えっ?へっ?何を?」
あせあせと答えるソラ。
「あんたの見た夢でしょが! “隠し事”が“閉じ込められてるソラ”だって言ってんの!」
「なっ、なるほどー」
こくこくとうなずくソラ。
「でもそんなのないよぉ?」
夢の内容自体が秘密だが、ソレを見る理由にはならない。
「んじゃ似た解釈で何か“我慢”してる?」
「それもないよ。」
少なくともいじめれたいなでとは思わない!
「あ〜じゃあわかんない!!」
男っぽい性格のソラの友人は箸をくわえて投げやりに叫んだ。



  “水無瀬 咲(サキ)”

ソラの幼なじみで、母親と二人近所マンションに住む。
親同士の仲もよく深い付き合いの友である。
「サキぃ・・ちょっとお願いがあるんだけどぉー」
「なによ!キモいよソラ!」
性格も昔からのキツイまま。
「うーほんとに真剣に頼むけど、サキんちに泊めて!」
「ハァア!?」
「お願いだよ〜!」
最後にボロ家にソラがあがったのは小学校の終わり。
泊まったことなんかあったかどうか・・・。
一瞬“アホか!”と言いかけたが、
ソラの顔はいつになく真剣で、少しやつれてさえいる。
「それがどんな解決なんのかわかんないけど、
あんたがそれ以上ゾンビみたくやつれてくのも見たくないしね。」
「じゃあ!」
「っていうか話せる気になったら全部話しなさいよぉ!」
「う、うん、そのつもり!」
さすがにそれだけは無理、と思うソラだが精一杯感謝の気持ちで返した。



  その日、夕方―

「おお〜ソラちゃん久しぶりっ!ちょと痩せた?」
開けたドアより勢よく声が飛び出してきた。
咲の母親はヤンママで、咲をもしのぐ男っぽさ。
「コラ、馬鹿女!ソラ真剣に悩んでるのにおちょくんな!」
「おっ、ホントゴメンねソラちゃん!何あったの?」
「ソレは聞かない約束なのよ!黙ってろホント!」
「だまんのはテメーだよクソガキ!
私ぁソラちゃんとしゃべってんだよ!」
「なんだとおいぼれのぶんざいでケンカ売ってんのか!」
「マジ買うぞクソガキが、やいとすえたらぁ!!」
「あっあのぉ〜話の論点がずれていってるんですけど・・・」
あきれたソラがつっこみをいれる。
「・・・そうだよな。」
「そうよね〜ソラちゃんはやっぱかしこいわ!」
「ははは・・・」
にぎやか過ぎそうな明日までの生活を想像し苦笑いのソラだった。



  チャッ ポ――ン
「ああ〜くつろぐわ〜♪」
湯船で天井をあおぎつつ咲が言う。
「サキぃ〜なんかババ臭いよぉー ぎゃふっ!」
突然お湯のツッコミを受けてつぶれた声のソラ。
「だ〜日本人じゃないでしょソラ!“和”の精神がわかってない!」
そう言って再び浴槽の縁を枕に目を閉じくつろぐ咲。
小さな浴槽なのでたたんだ足のヒザは水面の突き出している。
横でぺっぺ、と吐き出したソラは体洗いを再開する。
咲が寝てしまったのか静寂に包まれた小さな空間。
ソラは乳房のトコロでタオル止めた。
(この胸に何かあるんだろか・・・)
3日間の悪夢は全て乳房をいたぶる内容だった。
(どうしたらあの夢を見ないですむんの!)
ぎゅっとタオルを小さな胸元に押し付けてココロの中叫んだ。
「こら、なに自分の乳もんでる!」
「へ?はわあー!?」
きゅっ、と咲に乳房をつままれおかしな悲鳴をだすソラ。
「はぁ〜ソラの乳がうらやましいわ。なんでどんどんでかくなのかな〜」
「うわぁぁ〜もむなコラぁー!!」
ほいよ、と手をはなし自分の乳房をうざたく見下ろす咲。
「サキくらいは普通だよぉ!そりゃ私のと比べたら重そうだけど・・」
Cカップ近い咲のおっぱいと見比べて、うなだれるソラ。
「って言うかぶらぶら締まりがないのよコレ!筋肉なさ過ぎ!!」
「ははは・・、ムキムキのおっぱいってきもそう・・・」
「とのかく私はソラくらいで成長止まってほしかったの!」
ざばっ!と浴槽をでるとソラの横で体を拭き始めた。
「私は早くサキくらいでっかくなって欲しいよぉ〜」
「遅咲きで急にでっかくなったらソラにもわかるわよ。」
そう言うと咲は浴室から出て行った。
「はは・・遅咲きでもいいからそんな苦悩したいよ〜」
一言つぶやくと、咲の空けた湯船にソラはつかった。



  「はふー、サキじゃないけど湯船ってサイコ〜」
咲と同じに縁にもたれて天井をあおぐソラ。
すっと目を閉じると、詰め込むように入った湯船に
まるでゆらゆら浮んでいるように感じられた。
その心地良さに誘われて、トローンと眠気がソラを誘う。
(最近あの夢のせいで寝た気分がしなかったからなぁ・・・)
そう考える頭のなかもどんどんとふやけてゆくソラ。
そしてすーっと消え入るようにソラの思考は途絶えていった。



  チャポ―――ン

蛇口の水滴が湯船に波紋を広げる。
それはソラのヒザ小僧とその間にあるものにぶつかって消えた。
深い藍色のソレは悪夢の始まり告げるあの顔。 「くくくくくっ・・・・くぷっ♪」
薄気味悪い、いたずらな声が水面をゆらす。
心地よい寝顔を浮かべる少女の太ももにはさませて浮ぶソレは、
明るい照明のなかの矛盾した闇のよどみ・・・
ニター っと裂けるように口を卑しくゆがませ ソラの寝顔を見つめていた・・・



  「んっ・・・?」
不思議な感触に咲は目を覚ました。
「・・・えっ?何よこれっ!」
咲はガラスのように透明な球形の中に閉じ込められている。
全裸で―
「ちょっ、何よこれっ?!つなぎ目もフタも無いじゃない!!」
直径2mほどの球は完全な密閉空間だが、呼吸はできる。
球はその内側を未知の原理で光らせ、まるで昼間の明るさである。
対照的に周囲は真っ暗な闇が包み、
まるで咲の入った球が星の無い宇宙に浮んでいるようだ。
「どうやったのかは知らないけど、変態ヤロー出てきやがれぇ!!」
どぉーん!とコブシを叩き付けた咲―
「・・・えっ?」
ガラスかプラスックらしきそれはまるでゴムのように衝撃を吸収した。
改めて表面を触ってみた咲だが、とても固い!
「なに・・?防弾ガラスみたいなやつコレ・・」
考えながら球をぐるりと見回す咲・・・
「!!ソラぁ?!」
位置は丁度咲の球の真下―
二まわりは大きい球の中でソラはうつぶせに寝ていた。
灯りが暗いのかぼんやりした緑の光りに包まれたソラ。
咲と同じに一糸まとわぬ肌が緑に染まり、神秘的な裸体。
球の底に台が台のようで、その上に両の手足首が枷で固定されている。
そしてヒザをつき、お尻をグッ!と天井に突き出す体勢―
「なんてかっこうさせられてんのよ・・・!」
あまりにひわいな、幼なじみの格好を見下ろしつつ
咲は混乱する頭を整理しようと回想を始めた―



  そもそも咲は自分の布団で眠りについたはずだった。

お風呂からあがってから急に気分が悪くなり
少し休むつもりで自室で横になったのだ。
(夢?ってこんなありえないこと現実なわけないじゃん!)
咲は答えを導き出し冷静を取り戻す、が―
(じゃ 私はこんなこと考えてるわけ・・?)
性に興味の薄無い咲は、エッチなことなど考えたことも無い。
どちらかといえば否定的で、女性らしさを誤魔化していた。
咲は性=ストレスとまで考えてすごしてきた―はずだった・・・
「そっ、ソラ!アホなかっこで寝てないで起きろ!」
とまどいを振り払うようにソラに叫んだ。
しかし声はまるで響くことなく、
叫んだ咲当人にすら、遠くのつぶやきに聞こえる。
「密閉されてるんだっけ・・・?」
気圧で耳がおかしくなった感じにも似ていて、
声は少しくぐもってもいた。
(シャリィ――ン・・・)
「えっ?」
咲の声と違いその音はクリアに響きわたる。
それは軽く―それでいて鋭い金属のかすれる音だった・・・



  「ええっ?!」
咲は目を疑った。
今ソラの周囲を細いくだのようなモノがウネウネと泳いでいる。
ソラの寝る台の脇より伸び、やわらかなうねりでソラを取り巻く。
ソレがいつ出てきたのかがわからないのだ。
たとえ瞬きの間だとしてもあまりに一瞬すぎる!
「今の音ってアレのよね・・?」
とても金属質に見えぬ管たちはいくら見つめても無音で宙を泳ぐだけ。
(夢なんだから、色々おかしくて当然じゃないの!)
(シャリィ――ン)
「またっ・・あっ!?」
管は先端を吸盤のようにしてソラに吸い付いていた。
さらに一本はソラの鼻の穴に挿し込まれている。
さっきと同じで動作の途中が無い!
「ちょっ・・どうってなるのよコレっ・・!?」
記憶がスキップしているような違和感を咲は感じた。
(シャリィ――ン)
「あっ・・ああっ!!」
ソラのお尻のふくらみそれぞれに、爪のようなものがくい込んでいた。
爪は宙に浮ぶマイク状の何かと無線でつながっているのか同じに動き出く。
それはソラのお尻の谷間を左右へと押し開いていった。
「ちょっと・・まさか・・!!」
やがて肉の付け根よりソラの小さな蕾が咲の目に映されていた。
「うわっ・・!尻の穴ってマジ小さ・・」
興味本位にソラの蕾を観察する咲。
そしてソラは抵抗もしめさずされるがまま・・・



  (シャリィ――ン・・)
「いっ・・!?」
新たに一本のでかい管が現れていた。
三本の管で支えられ先端がごつくコーヒー缶の太みがある。
(シャリィ――ン・・)
「・・まさかっ!?」
次に大管はその先端をソラのむき出しの蕾に向けて揺らいでいた。
(シャリィ――ン・・)
「ぎゃっ!!」
そして咲はソラのお尻に突き刺ささった管を見る。
「ちょっ、それっ!そんなものソラに突っ込まないでよぉ!!
どう考えてもでかすぎだろぉ?!」
正確には管は先端より細い管を伸ばし、ソレが肛門へと挿し込めれている。
とはいえ大人の男性の親指はありそうな太さは痛々しいに変わりない。
先端の管には螺旋の溝が走り、まるでドリルのようにゆっくり回転していた。
「ソラっ!!」
顔を真っ赤に叫ぶ咲の声空しく、
ソラのまわりの管たちが代わりにうねりで答える。
肛門を貫くソレも感じないのか、ソラの寝顔は安らかなままだ。
「ソラぁ・・・!」
その叫びが空しいことを一人かみしめ、くやし涙を浮かべる咲。



  咲の涙の水槽の中を管たちはゆらゆら揺れる。
生き物のようなうねりから咲はヒルみたいだとつぶやいた。
(ソラの血を吸ってるんだろおかぁ・・・)
ため息のような重たい声をもらす咲。
管の吸い付いた部分の皮膚がもり上がってコブ状をつくっている。
(だとしたら鼻のやつとお尻の棒は何を・・?)
吸い付く管がヒルなら、体内に侵入した管は寄生虫のバケ物・・・と咲は思う。
SFホラーの代名詞『ALIEN』で腹からでてきた宇宙生物みたいに・・・
「―コラっ、私っ!ホラー映画は嫌いジャンルでしょうが!
こんなスプラッターをなんで想像してるのよぉ―――!!」
夢から覚める気迫を込めて咲は自分に叫んだ。
何もかもを否定する想いはその声を響かせたように思えた。
(シャリィ―――ン・・・)
その音はこれまでのものより響いて聞こえた―
「ソラ!!」
音は咲の叫びに応えるかのように全ての管を消し去っていた。
そして緑の光りも消え
少女の裸は肌色のツヤをうかべる自然光に包まれていた。
「・・・」
唐突すぎる終わりだが、咲にはどうでもいいことだった。
目の前の幼なじみにたいする性的虐待が消えればそれで良かった。
そして安堵と罪悪感が咲を包んだ。
「ごめんソラ・・どうしてこんな夢みたかしらないけど、ごめん!!」
かみ締める思いに再び咲は涙がにじみ、
小さな雫がソラに向かってこぼれた。
「・・・あっ!」
雫はそのままソラのお尻に落ちて跳ねたのだ。
内面についた咲の手とひざの感触がぐにゃりとのめり込むのを感じた。
そして空間すべてが薄らいでいく・・・
「やっと夢がさめる・・・」
確信した安心からか咲の意識はゆっくりとぼやけ、途切れた・・・



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