『2day 濡れた監獄』

  日差しのきつい秋晴れの日だった。
大きなグランドに元気な声がひびいている。
そんな校庭の片隅に少女はヒトリ座っていた。
「・・・・・」
そよ風が少女の横顔を撫でてゆく。
無言の少女の瞳は校庭を駆けるクラスメートではなく
くらい闇を映していた。



  (胸がいたい・・・)

体操着の上からそっと右の乳房に手をそえる。
それは乳房を中から針でチクチクと刺される
細く鋭い刺激・・・

「“アレ”は夢だよ・・・?」
ポツリと少女は自分に聞いた。



  少女はまるでいつものようにベットで目を覚ました。 
昨晩の不気味な部屋と生き物はいない。
服だって少し乱れているだけだった。
ただ・・・

(右のおっぱいが変・・・)
“痛いこと”をされた右乳房・・・
(“アレ”は夢なの・・?)
不快な痛みに思考が乱れていく・・



  少女はやさしく自分の胸をもんだ。 
「ぅ・・」
吐息ほどの声をあげた。
朝、痛みに気付いてから何度も触れた右の乳房は
非常に敏感になっている。
しかし決していやらしいキモチではない。
乳房を揉むことが痛みを和らげる唯一の方法なのだ。
「ぅぅ・・」
しかし、なんといっても思春期の少女。
その行為は全く別の痛みを伴う行為でもある。
からみあった痛みに少女は苦悶の表情を浮かべた。



  「綾川さん!」
唐突の声に はっ、と我にかえる少女。
現実に視覚を戻した瞳が目の前の体育教師を映す。
我に返ったようなキョトンとした表情と疲れた顔に
女教師はさっきの荒げた声を普段時に戻し話し掛けた。
「どうしたの、生理がそんなに重いの?」
「あっ、そのぉ・・」
綾川は火照った頬をさらに赤め言葉をにごす。
女教師はその前にしゃがんでやさしく続ける。
「・・見学も辛そうだし保健室で少し寝てきたらどう?
少し楽になったら早退したほうがいいかもね。」
「えっと・・そうします。」
何を説明できるわけでもない綾川は
そう言ってゆっくり立ち上がった。
「ん〜とそれから、思春期ではって困ると思うけど
あんまり胸揉んじゃだめよ!」
小声でさとしながら後ろの男子たちを目で指した。
今更ながら気付いた綾川は、顔一面真っ赤に染めた。



  「綾川 ソラさんだね。」
「はい。」
緊張気味にソラが答えた。
保健室―おっとりタイプなソラは体は元気!
この二年で初めて訪れた場所だ。
ソラの前にはしっかりした体格の男性保険医。
三枚目でトロンとした表情に荒れた鳥の巣状の長髪。 んでも校長の親友とかで
休日には街の小児科のヘルプを掛け持つ。
その勤勉さとヒトのいい人格で父兄から信頼も高い。
「はじめまして、保険医の夏目です。」
やわらかい笑みでおじぎする。
反射的にソラもぺコリと頭をさげる。
「体育の如月先生からおおまかに聞きました。
ただ、風邪ってこともあるんで解熱剤だけでも飲んで下さい。」
「・・・」
(そんなにほてってるんだぁ・・)
なんとも恥ずかしくって小さなコップのソレを
コクン、と流し込んだ。
「さて、足と頭がしっかりしてるんなら僕の自転車で
家まで送っていこうと思うんだが?」
「えっ!いや、だっ大丈夫ですよ!ひとりでも!」
あせあせとソラが返す。
「いやいや念のためだよ。
ささっ、教室で荷物取って来たら正門に来てくださいね。」
ニコリ〜と目を細め スタスタと表に札を掛ける。
“休診中”の文字にソラは思わず苦笑した。



   夜がきた―
  少しの不安はあったがそれだけ。
  胸の痛みもひいて楽になっている。
  昼はあの後、夏目先生に送られて帰宅した。
パワフルな体形でこぐオバサン自転車は小さく見え
  非常にコミカルなコントラストを何度か思い出して笑った。
  昨晩と違い涼しい秋らしい夜だ。
  窓から入る夜風の涼みながらソラは“夢だった”
に結論をつけて眠りについた・・・



    (サー・・・・・)
  TVのサンドストームのような音が聞こえていた。
  (・・あれ?TVなんか部屋にないよ・・?)
  眠りの淵で首をひねる。
  (サー・・・・・)
  ノイズのようなザラザラ感じゃない。
  むしろせせらぎのような音・・
  (下の台所で誰かが水道使ってるんだ・・)
  (サー・・・・・・・・・)
  しかし音は一定のリズムでいつまでも聞こえてくる。
  (もう・・お母さん、私が出しっぱなしだと
  すぐ怒んのに・・!)
  プンスカ怒りながらも気になってしょうがないソラは
  起きてそれを止めに行こうと思った―



   「やあ!!」
  「ひっ!?」
  それは唐突にソラの目の前に現れた―
  「さあ、おいでソラちゃん、ワンダーランドの続きだよ!」
  不気味にひきつった笑顔にソラをグイっ!と押し込んだ―
  「きゃぁ!・・・・・」
  悲鳴は部屋に残る間も無くソラの姿と共に消えた。
  「楽しんできてねソラちゃん♪」
    いやらしくボソリと吐くと、闇へと掻き消えていった・・・



    (サー・・・・・)
  ぼんやりした意識の中でソラはあの音を再び聞いた。
  (あ・・・)
  “おいで”
  「ああっ!」
  不意にアノ顔が浮んでソラは目を覚ました。
  (サー・・・・・)
  「ひゃっ!?」
    ソラはトローリと背をつたう水滴に飛び上がる。
  「えっ、ええっ?!」
  ソラは再び裸・・・いや今度は全裸にされていた。
  ペタンとお尻をつかされ
  両足を伸ばすかっこで座らされえている。
  まわりはカエルの皮膚のようなぬめりをおびた緑の壁が囲む。  



  なによりソラを怯えさせたのは体にまとわりついた 
  大きな蛇状の何か。
  ぬめって生温かいソレはくすんだピンクの臓器の色。
  「うわっ、うわぁぁ!!」
  声ははっきり出るソラだが、体に力が伝わらない。
  わずかにピクピク動く手足ははるか遠くにある感覚だ。
  「うわぁぁ!!気持ち悪いよぉ!!」
    逃げ出すことも、払いのけることもできないソラ。
  (サー・・・・・)
  (そうだ・・この音・・)
  今更ながら床面を水が流れているのに気付く。
  ソレは円柱状の部屋の中をせせらぐその音だった・・・
  ソラの思考はさらに混乱していった・・・



  『キ――――』 
  ガラスをひっかくような音がして
  ソラの前方の壁に四角い窓が開いた。
  「ああっ!!」
  ガラスかなにかの向こうには昨夜の二匹の小人。
  「まっ、また何かするんでしょ!ねぇ!」
  小人を睨みつけ半泣きのソラが叫ぶ。
    『キ――――――』
  「うっ・・!」
  嫌な音は小人の“声”のようだ。
  二匹は互いに音を交わし何かを操作する仕草をする。



  “ピクン”
  「ううっ!?!」
  突然に体の蛇状のモノ―触手が脈うつ。
  そしてソラの体の上をうごめき始めた。   “にゅるる―――”
  「いやぁあ――!!キモいィィィ!!」
  意識では身をよじるソラだが
  身体は無抵抗にその蹂躙を受け入れている。
    触手はグニグニとソラの身体をはいずり回り
  そのあとにヌメる白い液を残してゆく。
  触手の分泌液のソレがソラを麻痺させているもので
  触手がこすれるたびに細かな泡をたててゆく―
  まるでボディソープのようにソラの裸体を綿花でおおっていった。
(ああっ・・これってお風呂?!)
  ソラは自分が“洗われている”と実感した。



  触手によるソラの身洗いは続いた。
  「うんっ・・ああっー!あん!」
  触手の愛撫にいつしか感じ始めたソラ・・
  「なにかヘンっ・・あつい・・あんっ!」
  いつのまにか壁から蒸気が送られ、   部屋をサウナのように暖めていた。
  肌色いソラの身体はいつしかピンクに火照り
  特に青い果実のはずの乳房が
  ピンクに熟れた桃のようにふくらんでいた。
    「ああっ・・・おっ、おっぱいが変っ・・・」
  体液の副作用だろうか、ソラの両の乳房は二まわりは大きくなっている。
  その膨張は更に続き、乳房の表皮がひきつり
  ソラに激痛が走る。
  「はぐぅぅぅ・・・!!」
  かみしめるソラの悲痛な叫びを背に
  その乳房を触手はおかまいなしにはいずっていく。
  「うっ・・!うわあああ―――!!!」
  まさに乳房が引きちぎられる痛みにソラの絶叫が響きわたる。

  もとより思春期において少女の成長中の乳房は痛覚が鋭い。
  特にふくらみ半ばのソラの乳の房は一番守るトコロだろう。
  その乳房をさらせ、無尽にいたぶる行為は
  少女にとって最も残虐な拷問だった・・・。

  ようやくソラの異常に気付いた小人は、再び何かを操作する。
  すると蒸気が緑色に変わり触手が再びその動きを止めた。
  ミントのような刺激を含んだその香りのなかで
  ソラの乳房の火照りもうすれ、苦悶の表情も消えていった。
  そして意識の糸が切れソラは気を失った・・・。   



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