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「ひぎぃぃ‥‥!!?」

   一際大きな引きつった悲鳴があがった‥

     緋百合を今に戻したのは腹から伝わった激痛だった‥

  「かはっ‥あっ‥うぎゅ‥?!」

     次第に痛みは緩和するが、
代わりにお腹につまる異物感を知ることとなる‥

     (子宮に入られちゃった‥)

  冷静に自分のザマを浮かべる緋百合‥
  冷たい感触がお腹のうちをぺたぺたと触る‥

    「ひゃんっ‥‥こそばがゆいっ‥‥!」

     子宮からの感覚はどこか鈍く、
  袋に入り込む棒が擦れる口からの感覚が際立った‥
     子宮に入った氷の男根は、直線を崩して触手となり、
  円を描いてしぼんだ皮袋のソレを
  球状を形取りながら広げていく‥

        「はっ‥なっ、なにっ??」

     ぷく‥ん と小さく盛り上がるお腹に怯える緋百合‥

     「ねえっ、何をしてるの?やめてよぉ!
私の性器をおもちゃにしないでぇー!!」

     泣きながら‥子供のように訴える緋百合‥

     情緒が不安定になっている‥

     「ぎゅぅうぅ‥‥‥!」

     めり めり‥と強引に子宮は拡張されてゆく‥
  だが、妊娠経験のない女の其処は、
  無理の強要にも限界がある‥

  ソフトボールくらいの空間を作り、
  再び氷の触手は動きを止めた‥

     「ふぅぅぅ‥‥、ふぅぅぅ‥‥‥!」

  しかし膨らんだ子宮はそのままで、
  緋百合は圧迫感に悶える‥
   『ばら ばら‥

    「へっ‥‥?」

     小さくもそんな風に少女の声が聞こえた‥
  その刹那、氷の触手が大きくうねった‥
     「わっ‥ぎゃあ!?」

     自分でもよくわからない悲鳴をあげた‥

     あまりのことがその身に起きたから‥

     緑の触手がヘソのあたりを突き破り、
  その身をおどらせた‥

     「うそっ、いやっ、なにこれぇ‥??!」

     ずぶっ‥

     触手は更に緋百合の恥丘に突き刺さり、
  肉の中を泳ぐ‥

     「あっ‥あわわぁ!!?」

     痛みはないが、酷くこそばがゆい‥

   ずぶっ‥!
  「はぐぅ‥!」

     音も生々しく痛いたしく、
  それに目をしかめる緋百合‥
  触手は何度か緋百合の肌の水面より飛び出し、
  緑の胴をいくつか漂わせて静かになった‥

     「うぅぅ‥うぅ‥‥」

 
   青白く発光する触手の身が三つ揺らめいていた‥
  ヘソと恥丘の間に一つ‥   左右のももの付け根とややわき腹の間に
  それぞれ一つづつ‥
  当の緋百合は、何をされたのかいまいちわからない‥

     「‥これっていったい‥?」

     犯されたことまでは理解できる‥
  その上におこなう奇妙なこの行為‥
  触手が自分の性器周辺の肉に埋もれているのに、
  はっきりした感触すら伝わってこない‥

  『ばらばら‥』

     今度の声ははっきり聞こえた‥
  声は下方‥いや、緋百合の中を通して聞こえる‥

     「コレはあなたなのね‥?
  ばらばら‥って八つ裂きにでもする気?」

     部屋の明りと、少女という生生しい姿のないせいか
  緋百合は強気に問いかける‥

  『‥‥‥』

     返事は決まっている‥
  代わりに緋百合の中で動きをみせた‥

    「‥?」

     両脇の腹のあたりにこそばがゆさが走る‥

     「え‥?うっ‥?!」

     少しずつ気分が悪くなる‥
  しかしそれはヘソのほうから伝わるもの‥

     「うっ‥何?お腹が‥いっ‥痛い‥!?」
  その痛みは次第に強くなり、
  あいまいだが、新たな感触が加わったよう感じる‥

  (ばらばら‥って何‥?)

     自分で口にした“肉体の”“八つ裂き”を思い浮かべ、
  さらに吐き気を増す緋百合‥
     触手はいわば緋百合の生殖器官を取り囲んでいる‥

     (お腹をばらばらにする‥!?)

     うげ‥っ

    映像が一瞬よぎり、緋百合はたまらず嘔吐した‥

     緋百合の推測にあわせるかのように、
  膣、子宮への圧迫が始まる‥
  中と外からの惨(むご)たらしい愛撫に歪む臓器‥

     「あぐぅぅぅぅぅ‥!!!」

     痛みは迷うことなくそれらから伝わり、
  緋百合を苦しめる‥

     とくん‥

     緋百合は自分の歯軋りの中でその音を聞いた‥

     ひどく落ち着いた苦しみと相反する音色‥

     とくん‥とくん‥

  「うぅぅぅ‥誰‥?!」

  それが心臓の鼓動だと思い緋百合は辺りを見回す‥

  とくん‥とくん‥とくん‥

     「‥うーっ!‥ふぅぅぅ‥何処から‥?」

  次第に数が増えてゆく鼓動‥
  そのはっきりと聞こえる音と裏腹に、
  辺りには先刻のとうりなんの人影もない‥

     「‥‥??‥鼓動ぅ‥ううっ‥!?」

     吐き気‥突然、緋百合のスイッチが入り、
  幾つかの言葉がつながった‥
  腹部の痛み、子宮の拡張、鼓動、そして吐き気‥

     「妊娠?!」

     理屈はとうていわからない。
  推測‥触手は腹の両脇、卵巣に刺さり、
  強制的に排卵をさせた‥
  ただ、引っかかるのは触手が少女であること‥

     (この子がお腹に入れたものって‥??)

     『‥お父さんからもらった、せいえきを入れたの‥』

  「!!」

     少女が始めてまともにしゃべった‥
     が、緋百合が驚いたのは“父さん”の単語だ‥

    「あなたはお父さんに
  こんなことをしろって言われたの?
  お父さんは近くにいるの?」

   冷静さで、痛みと探究心を抑えつつ緋百合は問う。

   『そう‥ばらばらにしなさいって‥
  だからあなたも早くばらまくの‥!』

     す――

     一瞬にして下腹部の締め付けが無くなった‥

  「へっ‥? ひゃあ?!」

    何かがお腹を勢いよく下る感触‥

  びしゃあー‥

  緋百合の股から吹き出した白い液体が、
  大きな音を立てて畳にぶちまけられた‥
















    
  「あっ、わっ、いやっ‥!」

     訳もわからず身をよじる緋百合‥

     とろとろ‥

     最初の勢いは失ったものの、流れ出る白い汁‥

     「うっ‥?!」

     畳に広がるその海の中でぴちぴちと跳ねる幾つもの点‥
  小さすぎて判別のつかない“鼓動の主”達‥

     ぷちちち‥

     「あっ‥!」

    触手が消え、目の前にたつ少女‥
  その素足が点の命を踏み潰した‥
弾ける音がしたあとに赤や青の汁が滲む‥

    「うっ‥ぷ‥!」

    理解を越えて、その光景は緋百合に不快感を与えた‥

   『つぶれろ‥つぶれろ‥♪』

     ぎこちないリズムで少女が歌っている‥?
  足を弾ませるたびに、はじける音が飛び散り、
  白い海に汚い色を混ぜて汚していく‥

     「やめなさい!!」

  その大きな声が目の前の少女を揺らした‥

     『いや‥父さんに怒られるから‥』

     鋭く緋百合を黒い目が睨み返すよう‥
  しかし緋百合に恐怖は伝わらない‥

     「怖いから仕方なくやってる‥
  でもお父さんは怒るんでしょ!?」

     『ちっ、ちがう‥!』

     少女が言葉をかんだ‥

     「あなたは素直な子‥
  そんなあなたを叱るお父さんはおかしくないの?!」

     緋百合の言葉は相手が人であることを忘れている‥
  そしてそれは言葉でなく想いとなって少女に溶けこむ‥

     『ちっ、ちがう‥私が悪いから父さんは叱るの‥!』

     ひどく怯えた仕草で縮こまる少女‥
  頭を抱え込もうとしているようだが、
  肩のへんがふくらむだけで、袖はだらりと垂れたまま‥

    「わかってる‥そんなことをする人間は‥!」

     緋百合は少女に腕がないと悟った‥
  そしてそうしたのが父親の仕業であると‥

  人の中で‥歪んだ心を持つものは意外と少なくない‥
  自尊心と強さ、狂った価値観など理由は様々だ‥
  共通することは哀れな被害者が隣にいること‥
  少女はその被害者なのだと緋百合は思う‥

     「もし‥あの時私に子供ができていたら、
  あなたの運命に近かったでしょう‥」

  小さくも強く怒りのこもった声が地面へと流れた‥

     『あっ‥』

     逆に少女の怯える声‥
  その目の前で緋百合は自由に腕を回して見せた‥

     「‥これは邪魔‥」

     そう言って振袖を腕から抜き取る‥
  その下には小さな手形の痣(あざ)が残されていた‥
     「あなたは私と同じ、哀しい思いをしてるの‥」

     束縛が解けたのを確かめるように
  緋百合は一度立ち上がり、
  改めて少女の前にしゃがみこんだ‥

     『あっ‥あっ‥』

    少女は自分を見つめる生きたその黒い目に、
  自分よりも深い闇がつまるのを見た‥

     「‥人は生きてく内にとんでもない憎しみや哀しみに
  何度でも出会うものなの‥
  それはあなただけじゃないの‥」

     少女は固まってその言葉をただ聞いている‥

     「けど‥それが全てじゃないから、
  灰色の世界も、ガラスの破片の道も、
  その一瞬のみと信じて今までこれたの‥」

    ぎゅ‥う‥っと優しく少女を抱きしめる緋百合‥
  小さな体からは冷たさと、震えが伝わってきた‥

     「逆に‥その強さと無知とで人を玩(もてあそ)ぶ奴は
  許せない‥!!」

     緋百合は少女をそのまま抱きかかえて立ち上がり、
  襖を足でもって開き縁側へとでる‥
  左右を見渡せば、今更ながらこの部屋が
  寝泊りしていたものだと知る‥
  そして、隣の部屋にも明かりが灯っていた‥
  何も言わずその明かりを睨みつける緋百合‥
  正面の立ち唾を飲むと襖に足をかけた‥
  
















    
  ず‥‥っ

     引きずる音をたて襖を開けば
  異様な臭いがこぼれ出てきた‥

     「もみじ‥!!」

  飛び込んできた映像はある意味想像した光景‥
  部屋の奥に大きな鏡‥その前に飾られた妹の姿‥
  虚ろな目で天井を仰(あお)ぐ‥

  『おぃ‥‥誰が連れてこいった‥』

  姿はないがドスのきいた男の声が響いた‥

  「そのまま返すわ、
  妹になにしてやがる馬鹿男!」

  ずんずん‥畳踏みしめ紅葉へと歩みよる緋百合‥

  紅葉の格好‥   髪が緋百合の時のようにゆらゆら宙にゆらぐ‥   上は浴衣がはだけて腕に残るも乳はむき出しで、
  下には朱い袴(はかま)を着せられいる‥
  足が左右に大きく開かれ、
  指を形どる細長い燭台で固定されている‥
  当然のこと紅葉の陰部は
  その全てが明かりに照らされいる‥はず‥
  そこに詰め込まれるソレが無ければ‥

  『コレが無けりゃお前先に殺したね‥』

  くっく‥薄気味悪い笑いが響く‥

  『やっぱ女はいいわ、
  いたぶんのたまんないねぇー!!』

  「!?」

  男の嘲(あざけ)り声の中、部屋の置く隅に
  何かがすーっと現れる‥

  「たまごっ?」

  そう‥人の背はある大きな卵‥
  そう以外には見えない何か‥

  『見ろよこいつ穴!
  産みたてのガキを男のアレだと思って
  締め付けてやがる‥』

     そう‥紅葉の性器に覆い被さるように
  赤子が飾られている‥
  両手を紅葉の胴に紐で縛られ、
  下半身はヘソの尾とともに母の中‥
     
「‥なんてことを‥!!」

  ふと気づけば、腕の中の少女の震えが
  増して伝わる‥

  (そうだ‥こんなことをする奴なんだ
  こいつは‥!)

  紅葉の周りの空気が歪み、
  いやらしい顔の幻が浮かんで見える‥

  『‥あなた‥何もしないで‥
  この人を怒らせないで‥』

  うって変わり弱々しい女の声がした‥
  卵の方からだ‥

  『あなたとこの子の体を掻き乱せば、
  静かになってくれるの‥』

  顔の幻が紅葉の裸体を包み込む‥
  すると、うっすらと白く湯気が立ち上がり、
  幻が大きく口を開きソレを飲み込んだ‥

  「あなた‥男に私たちの精気を食わせてるのね‥」

  『‥くく‥いたぶられて犯されて、
  泣くしかない女のコレは最高だよ‥
  こいつを喰ったら次はおまえだ‥』

  「‥女のひと‥逃げるなら、
  はっきり逃げたら?」

  男を無視して卵に言葉を投げる緋百合‥

  卵が身をかしげたように動く‥

  「‥たまご‥あなた自分が真っ白なのを
  しってるの?」

  卵が左右に身をふる‥

  「あなた、何もないのよ‥」

  『こらぁ‥おまえうるさいんだよ!
  股の穴から子宮引き出して口ふさぐぞ!』

  ずぃ‥

  空気の塊が紅葉から緋百合に飛来し
  鼻先にせまる‥

  ふっ‥

  小さく緋百合が息を吹く‥

  『なっ‥!?』

  男‥であろう空気の玉が吹き飛び 散る‥

  『えっ‥??』

  女も驚き、卵が身を乗り出す‥

  「言ったでしょ、あなたたちには何も無いの‥」

     ただ淡々と語る緋百合‥

  「怨念なんてウソ。
  あなたは色もない卵、
  男のほうなんて屁みたいなプライド‥」

 『るせぇー!!中からえぐってやる‥!!』

  「むだ‥」

  小さな吐息に押されて男の煙が散る‥

  「この家はそう‥大きすぎると感じたの‥
  街の人ごみと違って自分がひどくはっきり‥
  その反面、時間は止まっているよう‥」

  『あなたは‥ひとじゃないの‥?』

  おかしくも、卵のおびえた返事が届く‥

  「私は人よ、でもあなたは人じゃないよね。
  色もカタチも捨てたただの卵‥
  この男、愛してるの?」

  どこか瞑想状態の緋百合にすごまれる卵‥

  『すっ、好きだから今もこうして‥!』

  「愛してるか聞いてるの。    怖がって付き従ってるかなんかどうでもいいの!」

  『愛してる‥!でも‥』

  「教えてあげるの‥愛の欠けた彼に、    あなたのその気持ちを‥」

  『愛なんてうぜぇしきもいんだよぉぉ!!』

  なんとなく小さくなった男の煙が吠える‥

  「なら‥なんで意識するの?
   興味があっても知らないからでしょ?」

     『はぁぁー?!きもくて目障りだって言ってんだよ!』

  『違う‥の‥』

  卵がふわっと光る‥
  殻のようにくすんでいた表面がツヤをおびる‥
  光は大きく広がり、男の煙に触れる‥

  『うおっ!やめろ、こらぁ!俺は独りが‥‥』

  『‥わかってた‥でもあなたが怖くて‥』

  「抱きしめてあげれたよ‥」

  『‥うん‥ひどく凍えてる‥』

  「あなたは言ったよね、私が“ひと”かって‥」

  『‥違う‥んでしょ、そんな‥』

  「私は“バカ”な人よ!
  優しさが一番だって信じ続けてきた大バカなの‥」

4   少し涙が滲む‥

  『そう‥よね、私の知る中じゃ飛び切りのバカかも‥
  死人に人情説くなんてね‥!』

  笑っている‥卵は不思議な色をおび、もう
  卵ではない‥

  「私の色って見える?
  すごく濁ってない‥?」

  『はは‥あなたの思ってるとうりだよきっと‥
  良かったらあなたもここに来ない‥?
  思うほど怖くないよ‥ここ‥』

  二コリと緋百合は笑顔を向ける‥
  そして腕の中の少女を下ろすと
  そっと 背中を押してあげた‥

     「この子もあたためてあげれる‥?」

  『あっ‥あ‥‥』

  正面の“我が子”に言葉詰まらせる女の声‥

  戸惑う少女の背に緋百合が言葉を着せる‥

  「あたためてもらっておいでっ‥」

  優しく ただ一言‥

少女が光に足を踏み入れた‥
  一瞬 そして女は少女を抱きしめた‥

    『ごめん‥ね‥』

    光の中、母と子の抱き合う影が幻と霞んで見えた‥
  緋百合は無言にソレを見つめる‥

  『‥あなたは‥そんな色に汚れてもがんばるのね‥』

  「そうね‥生きてる内にどこまで塗り込めるか
   限界を見極めたいの、わたしは‥!」

  『‥それって馬鹿だから?』

 「そう、馬鹿だから!」

  ふわ‥‥っと光がもっと大きくふくらんだ‥

  全てがそれに包まれた瞬間‥光は消えた。

  「さようなら、がんばって‥!」

  虚空に向けて ぽつり‥と緋百合はつぶやいた‥
  






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