目を覚ました緋百合が見たのは覗き込む妹の顔だった‥
「よっ!アホ姉貴。」
その向こうに天井の背景‥
自分が横になっていると気付く‥
そして厚手の布団の重みと温かさを緋百合は感じた‥
「ほんと、ばっかじゃない!?のぼせるまで長湯してさ!
わたしゃー驚いたよ!」
風船のように頬をふくらませ怒る紅葉。
明るく部屋に、いつもの紅葉‥
けれど緋百合が先刻お風呂で体験したものは‥
「…ねぇ、私の他に誰かいた?」
無意識に言葉が紡(つむ)がれた‥
「はぁ??!」
大きく口をあけて呆(あき)れる紅葉。
「頭打ったんじゃないのぉ?お猿の露天風呂じゃないんだよ?
変なとこ痛くないよねぇ?」
少し真剣な顔で紅葉は緋百合の後ろあたまを調べだした。
「‥ごめんもみじ、頭に痛い所はないから‥」
「ほんとにぃ?床で股おっぴろげでぶっ倒れてたのぃ?」
「うっ‥“おっぴろげて”倒れてたんだ‥」
「もう、アレが丸見え!
エロさ以上にマヌケさに涙したよ‥」
ふぅ―――と長いため息の紅葉。
想像した緋百合は真っ赤になる。
(あれ‥?)
緋百合は突然何かを忘れる‥
それが何かはわからないが、
記憶が抜け落ちる不快感がしっかりと感じられた‥
(あれっ?何?何を忘れたの?)
必死にそれを拾おうとするがすでに闇の中‥
はっきりとする違和感を胸に、
緋百合の時間は、鼓動に合わせ時を刻んだ‥
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