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 『 はじめに… 』

....ファンタジー、それは作り物の別世界。
別世界は、現実と切り離された、閉鎖的な隔離空間。
閉鎖的空間はそれを共有した脳の数において無限とふくらむ。
そして無限は一つの宇宙を築き、現実と別の時間を刻みだす。
これは、そんな作り物の別世界の時の刻みを記した物語…


まず この世界を現実との区別の意味で、異界と称しましょう。
この異界には歪な容姿の生命が多く生息し、それは怪物(または蟲)と称します。
我々ヒトと異なる怪物達に混じり、異質な生命も存在しています。
プリストン(妖精)と称するヒトの姿をした生き物です。
小柄な体躯に昆虫じみた羽根、とがった長い耳、猫みたいに細い黒目。
わずかしかヒトと違わぬプリストンがこの物語の主軸になります。


"プリストン"は異界の言葉で"永遠の子供"の意味を持ちます。
体の発育がヒトの3倍近く遅く、寿命が3倍近く短い特徴に由縁します。
つまり大人びた姿のプリストンの肉体内は死期迫る老人なのです。
表面に老化を示すことなく朽ち果てる姿は、夏の昆虫を思わせます。
幼虫たる幼児のプリストンは親に守られ10年ほどひっそり暮らします。
やがて親の命が果てる頃に成長期を迎え、時間をかけて成虫の大人になるのです。
大人のプリストンが性欲に目覚めるまでに10年の月日があります。
無邪気な子供の姿で、怪物たちの蠢く異界を生きる妖精・プリストン。
その一人のメス(♀)をプリスと称して物語に入ります。
つぶらな彼女の瞳に映しだされる異界の光景をどうぞご堪能下さい…











 
『 プリストン・ダイアリー □7の月の雨□ 』
「 ふぁん……雨が終わった… 」
ぽっつん つぶやいた言葉と、ヒトリ空を見上げるボク
大きなネズミ色の雲の群れが、ゆっくり遠くへと流されていく…
空の滴の最後の一滴を確認して、ボクは大葉の仮宿から抜け出した。
「 さてっ、ヒトリ旅の再開だ♪ 」
ボクは背中にしょった小さな皮袋を開いて、一冊のを出す。
「 7月(ななつき)の雲が3つ目の朝。濁り気味の空だけど
ボクの羽で青空に塗り替えてやるぞ! 」
踊るようにペンを走らせ、白紙のページに文字を描く…
これはボクの日記帳、そして宝物
両親がくれた最後のぬくもり
ペンと一緒に袋の底に大事にしまうと、フワーッと羽を広げた。
まわりの空気がはしゃぎだし、植物を揺さぶって雨粒を再び空に振りまく。
「 つっ、つべたた…! 」
頭からかぶってる間抜けなボク。。
気を取り直して、大きく羽をはばたいて風を抱きあげるボク。
大きな空の庭にちっぽけな妖精が一匹、元気に舞い上がっていった…。

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